2017/10

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同人誌即売会でメジャーな頒布方法は、冊子の形で手渡しすることで、僕も同人をはじめてからずっとそのようにやってきたのだが、思うところあって、『第百三十二季 文々。新聞友の会』と『諏訪箪祭』において、一般向けの漫画同人誌を、ダウンロードカード方式で頒布してみることにした。

 

使用したのはconcaというサービスで、こちらはダウンロード用のサーバーを貸し出し+シリアルコードとQRコードが印刷されたカードの制作を代行してくれる。ダウンロードしてもらうコンテンツについてはとくだん制限はなく何に使っても良い。ゲーム・音楽・漫画といったデジタルメディアなら何にでも使える。僕の場合はCLIP STUDIOで書きだしたpdfファイルをそのままアップロードした。

 

https://conca.cc/

 

 

注文すると、こういったプラスチックカードが届く。カードと印刷の出来はかなり良く、コンビニで売っているアマゾンギフトカード等と比べても遜色ない。カードのデザインは自作できる。またシリアルコードを隠す用のシールや、カードを張り付ける台座も用意されていて、追加料金を払うとより商業に近いような形で頒布できる。裏面のシリアルやQRコードなども本格的だ。

 

特筆すべきはカードデザインに関するややこしい「入稿」が必要ないという点。普通、同人用の印刷物を作るにはテンプレートにあれやこれやデザインを描いたものをCMYKやらタチキリやらトンボやらを気にしながら戦々恐々と入稿しなければならないが、concaの場合、カードデザインを決める時はjpegをアップロードして、カードに使う部分をウェブサービス上でトリミングすれば終わりだ。台座のデザインも自作できるがこれも同様に楽だ。個人的にはとても合理的だと思う。

 

実際にDLカードで頒布してみて気づいたことを以下に述べる。ただし、僕が頒布した同人誌は

 ・一般向けの漫画本

 ・3冊出した続きものの最新刊(まだ続く)

 ・既刊も一緒に並べた

という特殊な点についても事前にご了承頂きたい。

 

 

メリット Ш澹砲嵩張らない

最大のメリットと感じた。DLカードの場合100部でプラスチックのカードケース1つなので、大きさ的にはポケットに入る。極端な話、手ぶらで即売会に参加できる。100部を通常の冊子で作ると段ボール1箱くらいになってしまうので、ポケットにいれる場合はズボンが破けて股間を露出するのを覚悟しなければならない。DLカードならズボンは破けない。厚い本になればこのメリットはさらに大きくなる。

 

メリット◆締切がイベント開催直前にまで伸ばせる

DLカードさえ用意できていれば、ファイルをアップロードすれば頒布物自体の準備は終わりだ。つまり、開催されるイベントの朝が締切になる。印刷見本が必要なイベントの場合は、道中でそのままpdfをセブンイレブンで印刷して会場でホチキス止めするでも間に合う。これは非常に大きいメリットだが、本当に楽すぎて堕落しそうな気がする。

 

メリット:感想をすぐに送れる

ダウンロード時に投稿フォームが表示されるので感想を送るのが簡単。昔でいうところのウェブ拍手に似ている。匿名で一言でも送れるのでtwitterやpixivのメッセージと違って送る方も気が楽だと思う。この部分は買われた方の評判も良い。またわざわざお金を払ったうえでいやがらせしてくる人もいないと思うので(居たらある意味いい人だと思う)大変優れたシステムと感じた。

 

メリットぁО榮庵罎傍し鵑佑覆読める

同人誌を公共交通機関で開いて読むというのはかなり憚られる行為だが、スマートフォンでダウンロードすれば他の電子書籍と同じようにどこでも読めるし、会場で本を郵送してしまった場合も、カードだけ財布にでも入れておけば帰りにサクッと読める。

 

 

デメリット Д灰好

concaの価格表を見ると、普通の冊子式同人誌と値段のカーブがかなり異なることがわかる。通常の印刷所ではたくさん刷れば刷るほど一冊当たりのコストが低下するが、concaはそうでもない。たとえば100部カードを作成した場合、concaの最安値は15,580円で、これは僕が普段使っている栄光のカラー表紙・モノクロ本文のセットが30,900円(今回頒布した40pの場合)であることを考えると、かなり安い。

しかしこれが300部になると、concaの価格は44,180円となり、栄光の51,100円と比較してかなり差が縮まる(価格差は500部で逆転する)。カードをより高品質な厚みのあるものに変えたり、カード台紙などを追加注文すると当然より高くなる。くわえて、同人誌印刷所で冊子を作る場合は早割などの割引サービスがあること、またDLカード方式の頒布価格は僕の感覚ではどうしても本より下げざるをえないので、実際のコスト差はさらに大きい。

ただ、コスト面に関してはページ数・カラー/モノクロによってかなり差がある。何百ページという総集編やフルカラー本は印刷するとものすごい値段になってしまうが、concaの場合は10pだろうが1000pだろうが同じだ。

 

デメリット◆Д瀬Ε鵐蹇璽匹亮蟯

冊子の同人誌はその場で開けば読めるが、DLカードの場合はそこに1ステップ入るのでやはり忌避されるところがある。続きはDLカードになります、と説明すると「これは冊子の形になりますか?」「本の形式になるまで待ちます」という人も、かなりの人数いた(自分で作っておいてアレだけど、僕も冊子の形式じゃないと買わないと思うので、ごく普通の反応だと思う)。

 

デメリット:物理的な問題

小さくて薄くてかさばらないが、そのトレードオフもあった。

・本と並べると小さすぎて目立たない

・冊子と比べた所有感の無さ

・交換する時のどことなく申し訳ない気分

・失くす

・名刺と間違って持っていかれそうになる(何十人もいました。気にしないでください。普通の反応です)

 

 

他に気付いた面白い現象を挙げると、DLカードの内容を見本誌コピー本としてスペースに置いていたが、誰も手に取らなかったということ。ほとんどの人がめくら買いしていったということになる。冷静に考えると、そもそも続き物なので、前の3巻を読んでいなければ買わないだろうし、読んでいれば欲しければ買うし要らなければそもそも見ないと思うので、よく考えてみれば必要なかったかも。

 

DLカード形式で漫画を頒布するということ自体は、思っていたより障害はなかったので、かえって驚いた。ただ、この形式が今後、同人誌即売会の主流になるかというと、正直なところ、ないと思う。やはり冊子と比べて所有感がない(カードならではの良さはあるが)という点と、いちいちダウンロードしなければならないという点が、サークル参加側も、一般参加側にも心理的ブレーキをかける。手間かけてまでは欲しくない、本になるまで待つ、というのはとても正しい選択だと思う。

 

個人的にこの頒布方式は続けるつもりなのかと言われると、僕にとってはメリットのほうが大きいように感じるので、次もカードで出そうかなと思っている。最大の要因は、続き物同人は在庫管理が死ぬほど面倒くさく、それを解決できそうだからだ。

 

たとえば ↓◆↓と続き物を3冊出したとする。で、,虜澹砲なくなる。ちょっと想像してほしいのだが、続き物の,ない状態で△鉢だけ買いたいと思うだろうか。,なければ◆↓は買いませんという人が出てくる。,鮑独里垢襦△なくなる。△呂覆い任垢と言われてを買わない人が出てくる。以下省略。これはまだ3冊だからなんとかなっているが、仮に僕が現在のシリーズを50pくらいに区切って本を出していた場合、7冊くらいになっているので在庫管理など不可能になってしまうだろう。僕はもぐらたたきとか倉庫番がやりたくて同人誌を書いているわけではない。

 

DLカード形式の場合、大きさ的にかさばらないのはもちろんのこと、後でファイルを差し替えてしまえばページ数を増やしつつ同じカードで新刊を配布できる。後でページ数を増やしたり減らしたり修正したり、おまけ漫画でもなんでもござれだ。あとは印刷所が大きい割引をしているときに、まとめて総集編を大量に刷ってしまえばいいのである。新刊の割増に怯えながら既刊を何度も刷り直す地獄から、concaは僕を解放してくれる、というわけだ。

 

今後はデメリットを解決しつつ、DLカード頒布をより周知していけば良いかなと思っている。たとえば、カードが目立たない+カードを失くすという問題の対策として、カードホルダーつきのクリアファイルを一緒に頒布するとか、いろいろ考えている。『諏訪箪祭』では実際そうした。こういう試行錯誤をするのが同人の一番楽しいところかも、と僕は思っている。

 

そういうわけで今後とも、ややこしい頒布形式+異様に長い漫画ともども、芦山文學をよろしくお願いします、ということでひとつ。

 

 

 



 

普段FOVEON機で撮影する時は、dpQを三脚に乗せてタイマーレリーズを使っている。手ブレ防止のためである。三脚を使ってもレリーズボタンを押すとその振動でブレてしまう。とはいえ毎回撮影ボタンを押して10秒待つのはあまりに儀式じみているような気もする。おまけに押したときに簡易三脚がたわむのであんまり防止にならないことも多い。これを解決するにはケーブルレリーズを使うべきだ。ということで、SIGMA ケーブルレリーズ CR-31を購入した。というか、すでに購入していたのだが、これを使うと接続部の端子が丸出しになってしまう(SDカード挿入口が一緒になっているラバー製のカバー部)。それがどうも嫌で使用を躊躇していた。やっとこ覚悟を決めて運用してみたが、なかなかいい感じだ。これはあったほうが良い気がする。

 

 

あったほうがいい理由は、10秒待つ必要がないこと。逆に欠点としては、10秒待つことができなくなることか。ボタンを押して、息を止めながら待ってる間にいろいろ考えることがあるんだなと思った。それでもメリットのほうが多いか。

 

 

ケーブルレリーズの画像を普通に張る方法がわからなかったのでアフィリエイトリンクになってしまっているが、無視してください。