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・α7のレンズシステムと、その重さについて

 

前回、前々回と「いかに軽いα7のシステムを組むか」という活動に腐心していた話をしたので、もう少しだけレンズの重さについて。いま自分が使っている単焦点3本+α7R2の総重量は、582+225+281+472で1560gだ。自分にとってズームレンズは「使っていない焦点域は捨てているのと同じ」という存在なので、あまり使用頻度は高くない。便利なのは確かなのだけど、「今日はこの焦点域は使わないから、24-70のうち24-40だけ家に置いてくる」などというわけにはいかないので、結局は単焦点と足を組み合わせることにした。これも良かれ悪しかれで、山岳地帯でのネイチャーフォトなどでは、寄ったり引いたりするような足場がないので、ズームレンズを使わなければいけないこともあるだろう。

 

それに関係して、以下のような記事を見つけた。

 

ミラーレス一眼でFUJIFILM X-H1を選んだ理由。ネイチャーフォトでのベストセレクト

 

記事の内容は、X-H1がネイチャーフォトにおいてα7系よりも有利であるというもので、おおむね僕もこれには同じ思いだ。ちょっと廃村に入るだけならともかく、山岳地帯でα7を振り回すのは自分でもやりたくない。フジかオリンパスのフラッグシップでないとさすがに怖いと思う。で、面白いと思ったのは、レンズシステムの重量に関する以下の部分だ。

 

引用


ソニーのαシステムは軽量ではない

 

(中略)

 

広角から望遠までをズームレンズで揃えると重量はこのようになります。

SONY FUJIFILM
ボディ α7 572g X-H1 623g
広角レンズ FE 12-24mm F4 G 565g XF10-24mmF4 R OIS 410g
望遠レンズ FE 24-70mm F2.8 GM 886g XF16-55mmF2.8 R LM WR 665g
望遠レンズ FE 70-200mm F2.8 GM 1480g XF50-140mmF2.8 R LM OIS WR 995g
3505g 2695g

ボディとレンズ3本で800gくらいX-H1のシステムの方が軽量です。フルサイズのセンサーに合わせたレンズなので当然です。


引用ここまで

 

『ソニーのαシステムは軽量ではない』のか? 比較を見て、目ざといというか神経症的な方は、ピンと来たかもしれない。というのも、フルサイズとAPS-Cでは被写界深度に1段分(厳密には4/3段分)の違いがあり、高感度耐性にもおおよそ1段分の性能差がある。したがって、同じ絵を作る機材として比べるなら、α7鵑F2.8通しではなくF4通しのレンズが妥当なのではないか、ということだ。

 

※は同等のレンズがなかったもの。

ボディ α7 572g X-H1 623g
広角 FE 12-24mm F4 G 565g※ XF10-24mmF4 410g
標準 FE 24-70mm F4 ZA OSS 426g XF16-55mmF2.8 655g
望遠 FE 70-200mm F4 G OSS 840g XF50-140mmF2.8 995g
合計 2403g 2683g

 

実際に比較してみると、このように重量にほとんど差はない。といっても、このような比較は言葉遊びのようなもので、実際にはF値が違えばシャッタースピードも変わるし、機材のランクが変われば硝材も変わるわけで、数値に異議をはさみたいわけではない。言いたいのはもっと別のことだ。もう少し視点を変えて、今度はAPS-Cとマイクロフォーサーズを比較してみる。こちらもほぼ1段分の差があるので、フジの機材をF4通し(…はないので、XFの廉価ズーム)に、マイクロフォーサーズをF2.8通しにした。

 

ボディ X-H1 623g GH5 645g E-M1M 498g
広角 XF10-24mmF4 410g 7-14mm/F4.0 300g※ ED 7-14mm F2.8 PRO 534g
標準 XF18-55mmF2.8-4 310g 12-35mm/F2.8 II 305g ED 12-40mm F2.8 PRO 382g
望遠 XF55-200mmF3.5-4.8 580g 35-100mm/F2.8 II  360g ED 40-150mm F2.8 PRO 760g※
合計 1923g 1610g 2174g

 

明るさも焦点距離も厳密にはそろっていないので、参考程度に見てもらいたいが、やはり思ったほど差はないように見受けられる(しかし、パナソニックのレンズは素晴らしい。抜きんでた軽さだ)。

 

ここで言いたいのは、光学は物理学であって、基本的に覆らないということだ。一般的に言われるように、センサーサイズが小さければイメージサークルも小さくできるので、レンズも小さくなるように思える。それは半分は当たっていて、半分はそうでもない。実際には被写界深度の差や、センサーの低感度・高感度の特性の違いで、より大きなセンサーの絵に近しい絵を作ろうと考えると、口径を大きくしなければならず、そうなれば周辺画質が荒れる。開放からまともに使えるようにするためには、大量の補正レンズが必要になり、またイメージサークルを大きくせねばならず、結局レンズは大きくなる。

 

25mm F1.2 PROを思い出してほしい。マイクロフォーサーズのセンサーをカバーするレンズだが、410gある。FE 55mm F1.8 ZAは281gだ。メーカーを変えたり、センサーを変えたりしても、この宇宙で同一の物理学に縛られている以上は「高画質なレンズは大きく重い」という法則からは逃れられない。逆にいうと、システムを軽くしようと思えば、いくらでも軽くできるし、また重くもできる。メーカーがそういうレンズを作るか、作らないか。結局のところ、システムが拡充されていけば、どのマウントを選んでも、最後に行きつくところは、自分が「どこまでで妥協できるか」という話になる。

 

 

・レンズシステムの行きつくところ

 

今後、ミラーレスが完全に市場の中心になることは明々白々だ。レンズはどうなるのか? 超広角レンズはミラーレスのフランジバックの恩恵を受けて小さくなるだろうが、他のレンズは基本的に、光学系が大きく変わることはないと思われる。というか、硝材が根本的に変わらない以上は、変化はない(と、いうようなことをSIGMAのCEOが言っていた…)フルサイズでも、APS-Cでも、マイクロフォーサーズでも、明るいレンズは依然としてでかいままであるし、暗いレンズは小さい。

 

ただ、光学系の縛りから外れた要素もある。それはハイレゾ撮影だ。既にPENTAX K-1m2には手持ちハイレゾ(名前はリアレゾだが)が組み込まれている。ハイレゾ・リアレゾは写真を複数枚撮影し、それを組み合わせることで高い解像感を得る技術だが、G9では約8000万画素相当の高解像撮影モードとしても使われている。要するに、言いたいのは「重いズームレンズをいくつも持ち歩かなくても、単焦点で超高画素撮影してトリミングすりゃいいんじゃないか」ということだ。

 

今でもソニー機には全画素超解像ズームという機能があるが、これを突き詰めていけば、それほど無理な光学系を用意しなくとも、解像度の高いレンズさえあれば、2倍、3倍くらいのズーム域でしゃんとした画は取れるんじゃないかと思う。横着者の理想を言えば、超広角レンズが1本あれば、百億画素くらいで撮影して、あとは無限にデジタルズームしてそれで済むのが一番いい。さすがにこれは無理な話だろうけど、将来的には近い姿になるんじゃないかなとは思う。まずはオリンパスが手持ちハイレゾ、次にフジ、ソニーと来るように思う。


α7R+OM-SYSTEM ZUIKO AUTO-T 200mm F5/F8

 

広角+標準+望遠のカメラ・システムを考えるとき、自分がカメラを使うシチュエーションをまず想像する。自分の場合は神社探索が主なので、獣道や林道を行き来することが多く、そのとき小さくてかさばらない、軽いものを目指す、という大前提を立てた。で、超広角と標準レンズはすんなり決まったが、望遠はなかなか見つからない。望遠ズームはどれも重く、巨大で、とてもぶら下げたまま動くのには適さない。なかなか許容範囲の重量内に入らない。

 

しかたなくオールドレンズにまで手を広げ、MINOLTAの135mm、300mmも試した。シャープで現代でも充分使えるよ、とのOMファンの口車に乗って、小型軽量で有名なOM-SYSTEM ZUIKOの135mmF2.8、F3.5、それぞれマルチコートを(わざわざebayでアメリカから取り寄せて!)購入して試した。しかし設計が古いため、フリンジがキツく、ユルい画作りで、α7R2の4200万画素センサーには到底対抗できない。ポートレートには良いのだろうが、風景用としては実用に耐えない。

 

それらを処分して、最後に唯一残ったのが、冒頭の1枚を撮ったOM-SYSTEM ZUIKO AUTO-T 200mm F5。単焦点なのにF5。暗い。暗黒ズームならぬ暗黒単焦点。いまだったらこんな暗い単焦点レンズは作られないであろう。スペックが低すぎて売れないし、焦点域は普通の望遠ズームレンズに含まれているから、メーカーが作る必要性を感じないだろう。

 

だが、自分にはこれがベストのレンズだった。暗いし、200mmは中途半端だが、描写は素晴らしい。1段絞ればフリンジは消えるし、それなりにシャープ。そして、何より軽いのだ。マウントアダプターつきで472g。FE 70-200mm F4 Gは840gだ。ご冗談でしょう?

 

上の写真の等倍切り出し。現像時に強烈にストラクチャーを振ったので荒れているが、現像して解像感を増す効果があるということは、元のrawに充分な情報量があることの証左である。OM-SYSTEM ZUIKO AUTO-T 200mm F5、恐ろしい実力。暗いOMレンズ群のなかで、これ1本だけがズバ抜けている。暗黒の力だ。

 


 

E 10-18mm F4 OSSはAPS-C用の超広角レンズで、NEXやα6000シリーズなどにつけると15-27mmをカバーする使い勝手の良い1本だ。画質もまずまず。ところで、このレンズ、一部のズーム域では、実はフルサイズのイメージサークルをカバーしている。実際にα7シリーズに装着してみると、13mmから16mmくらいまでは確かにケラレが発生しない。

 

フルサイズ用超広角レンズとしては、評判の良い小型のFE 16-35mm F4 ZA OSSや、FE 12-24mm F4 Gがあるが、これらはいくら小型とはいえ重量は500グラム以上ある。ペットボトル1本はある重さの、めったに使わない超広角レンズを、「ひょっとしたら使うかも」というだけで常時持ち運ぶのは結構大変だ。

 

E 10-18mm F4 OSSは200グラムちょっとしかない。単焦点のLAOWA 15mm F2 Zero-Dや、SUPER WIDE HELIAR 15mm F4.5より軽いし、OSSもあるし、AFも効く。愉快なことに、このレンズは広角側は樽型、望遠側は糸巻型のディストーションがあり、中央地点である14mmはそれが打ち消し合ってほぼディストーションはゼロになっている。

 

α7R髻E 10-18mm F4 OSS 14mm

ディストーション補正あり(ディストーション エリアを隠すを『ON』)

 

ディストーション補正なし(補正ありと同じ画角でトリミング)

 

補正なしでも気になるほどの歪曲は見られない。ラボテストによると、14mmでの歪曲は0.355%だ。参考までにゼロ・ディストーションを謳うLAOWA 15mm F2 Zero-Dは0.93%の樽型歪曲がある。というか、フルサイズで撮影し補正をかけると、逆に樽型にゆがんでしまっているような気がする。補正なしのほうが自然なようだ。周辺はさすがに流れるが、もっと絞り込めばマシになるし、まあこんなものだろう。


SIGMA DP2 Merrill 

 

Sony α7R+55mmZA



 

「カラーで人間を撮影すると、着ている服装が写る。しかし、モノクロで人間を撮影すると、心の内面が写る」(モノクロ写真の魅力とは

 

 


モノクロームには集中させる力がある。白黒のコントラストはカラーと違って過度な彩度にならず嫌味がない。階調も色を気にする必要がないのでコントロールしやすい。ボケや収差と同じように、これらを利用して、撮影者の意図をダイレクトに、見るものへ伝えることができる。実際にやるとなると難しいが。


モノクロ写真の被写体としてとくに人物が選ばれるのは、作図として意図が明確になりやすいことと、それに伴うノイズがあまりに多すぎるためだろう。人は無意識に自己の内面をノイズで隠そうとする。服、表情、ポーズ…カラー。モノクロームはそのときノイズリダクションの役割を果たす。


いまだに多くの漫画がモノトーンで描かれるのも、作業コストの削減や印刷費の問題とは別に、白黒のコントラストで意図を明確にすること、それに伴って読者に感情移入を促すという効果を期待しているのではないか。





OLYMPUS AIR A01+LUMIX G 14mm/F2.5 ASPH

 

2013年末から2015年ごろにかけて、レンズスタイルカメラという製品がソニー・オリンパスの二社から相次いで発売された。見ての通りモニターを持たず円柱状の「レンズのみ」の製品で、撮影の自由度とコンパクトさが売りの製品だ。モニターがなくてどうやって撮影するのかというと、これはスマートフォンとレンズスタイルカメラでwi-fi通信することで、スマホをモニター代わりにする。

 

ガジェット好きを中心に当時、結構話題になった。ソニーからは

 ILCE-QX1

 DSC-QX100

 DSC-QX30

 DSC-QX10

の4種が先んじて市場に投げ込まれた。そして2018年現在、後継機種は発売されていない。その事実から分かる通り、この手のレンズスタイル・カメラは結論からいうと失敗作、商業的にはよくわからない立ち位置になっている。ハード面、ソフト面でもそれぞれ理由はいろいろあるのだが、苦労してスマホをくっつけて通信を確立してもできあがるのが「撮影ラグが長くてなんか使いにくいカメラ」でしかない、というのが最大の理由だろうか。

 

またコンパクトさが売りなのに、レンズスタイルに固執するあまりセンサーや処理チップ部分を円柱に収めるべく奥行きがでかくなってしまい、「別にそれほどコンパクトじゃない」というジレンマを抱えてしまったのもある。とくに親玉のILCE-QX1はレンズ交換式にも関わらず本体だけで幅74.0mm奥行52.5mmもあり、下手したらNEXのほうがコンパクトなんじゃないかと思わんでもない設計ではある。

 

 

このようなレンズ・スタイルカメラのなかで最も後発で洗練されていたのが表題のOLYMPUS AIR A01である。こいつはマイクロフォーサーズマウントのレンズ交換式のレンズ・スタイルカメラで、ソニー製品に比べコンパクトになっている。

 

また、このカメラはジャンルを『オープンプラットフォームカメラ』と称し、スマホを連結するアダプターの寸法や、ソフトウェアのAPIをすべて公開して自由に作ることができるというのも話題になった。オリンパスは最小限のアプリを提供し、有志が自由に拡張できるという、極めて先進的な思想のもと送り出された。

が、このカメラもはっきりいって珍カメラだ。

 

オープンプラットフォームは先進的というより丸投げに近く、もともとあってしかるべき光学系のアクセサリーは素人にはどうやっても作れないのが問題で、これだけコンパクトなのに単体で撮影できないのが非常にもったいない。せめて折りたたみ式光学ファインダーくらい最初から用意していれば。あるいはホットシューがあるだけでもだいぶ違っただろうに。

 

もちろん、オリンパスエアー単体で撮影できるようにグリップを3Dプリンタで作って装着したり、簡易ファインダーをつけたり、いろいろ使いやすいようにアレンジすることもできる…。それは楽しいと思う…、可能なのだが…しかしそうして出来上がるのは、単にかさばるモニターのない使いづらいカメラなのだ…。なら最初からモニターがついた普通のカメラの方が良い。

 

 

だが、オリンパスAirには何よりも代えがたい美点がある。それは、軽いこと。なんとレンズ(LUMIX G 14mm/F2.5 ASPH)を装着し、撮影可能な状態で(後部のアダプターを外せば)200gを切る。これは本当にすごい。センサーが二回り小さい世界最小を自称するPENTAX Q10の本体のみより軽い。OM時代から連なるオリンパスの小型化への執念、というか、ここまでくると強迫観念であろうか。

 

 

これだけ軽いとgoProマウントに変換して、長い長い自撮り棒の先端につけてもまったく問題なく、遠隔操作で写る。

 

そう、こいつは3メートルの高さから撮影できるのだ。マイクロフォーサーズの画質で。

 

 

3メートルの高さから見下ろす広角の世界は、ちょっとしたドローンのような絵になってしまう。崖だろうが橋の下だろうが、手+自撮り棒の届く範囲であれば撮影にほとんど制限がない。

 

 

 

御柱の全景が入ってしまう。

 

 

 

これでしか撮れない画がある、というのは良いカメラの条件だと思うが、うーん。そう考えるとオリンパスAirは傑作機といってしまっていいような気もする。言い過ぎかな。

 

追記:

この手のカメラはいま絶滅してしまったが、その血脈はたぶんアクションカムになるのだろう。モニターを同時販売して撮影時に分離させたり、防水加工を施したり…。DSC-RX0などはまさに「この小さいやつにモニターがあったらよかった」という要求にそのまま答えた、レンズ・スタイルカメラの血筋のような感じがする。