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超広角レンズというのは基本的に高価で、マイクロフォーサーズでも現行品は5万、フルサイズ向けともなれば10万円を超える。自分もそうだが欲しいけどなかなか買えないという人も多いと思う。そんな中で広角端15mmながら16,000円という値付けがされた「SIGMA 15-30mm F3.5-4.5 EX DG」を見つけたので拾った。EFマウントは歴史が長く玉数も多いせいで時々びっくりするほど安いレンズが見つかる。

 

発売時は初の15mm超広角ズームとあって話題となったようである。一応デジタル対応?らしい。とうぜん安いのには理由があって、これは2001年発売。18年前のレンズということだ。画質は以下。

 

F9、jpeg撮って出し。というか設定ミスでrawで撮れなかった。

 

中央と四隅の切り出し。けっこう厳しい条件での撮影なのだが色収差はそれほどない。中央はシャープだし、四隅も悪くない。

 

現像で色収差補正をかけるとほとんど完璧になる。というか、LRだとjpegでも色収差補正がきちんと働くことをはじめて知った。rawで撮る必要なさそう。

 

歪曲はそれなり。自動修正のプロファイルがないのが弱点だがEF16-35mm F4Lが歪曲具合が似てて適用すると良いらしい。

 

 

ほんとによく写る。個人的に気に入ったのが、フォーカスリングがとても大きいのでMFが楽ということだ。超広角レンズはほとんどMFだしフォーカスリングの使い勝手は重要だ。レンズの作りはちょっと古めかしいが、戦車みたいに頑丈だし、今のArtラインの鏡筒とちがって寒い場所に持ち出しても冷たくなりにくくてこっちのほうが良い。AFするとジーコジーコリングが回るが、どうせAFなんか使わないしどうでもいい気がする。

 

発売当時はそれなりに高級レンズだったようだが、18年たってみると、安くて、使い勝手が良くて、よく写る一品になっている。とてもオススメ。ただし生産終了品なので、サポートはしてくれない。そこは納得して使おう。SEL1224GとかSEL1635Zを買える人ならそっちがいいけど、値段が10倍なので、まあこっちでもいいんじゃない。差額で一杯飲もう。プアマンにはプアマンの美学があるのだ。


Tamron 28-300mm F/3.5-6.3 Di VC PZDをマウントアダプター経由でα7Sに繋げて撮影した。

 

最近キヤノンEFマウントの変なレンズをα7Sにつけて遊ぶのが自分の中で流行っている。今回はタムロンの10倍便利ズーム。ソニーFE純正には24-240という便利ズームがあるのだが、ワイ端が欲しい人はそちらを、300mmが欲しい人はタムロンを選ぶ感じである。もっとも値段はソニー純正が2倍くらいする。

 

このレンズ、高倍率ズームの割に540gと軽く(なんで300mmまであるのにソニーより軽いんだ?)、全域で結構まともな写りをすると評判だ。

 

28mm、結構良い。

 

60mm、これは素晴らしい。

 

97mm

 

110mm

 

188mm

 

300mm

 

広角端〜中望遠までは非常にシャープで、そこから先もまずまずといった感じ。高倍率ズームというと絞っても絞っても解像しないレンズというイメージがあるが、これはなぜか絞りさえすればよく写る。ただ開放はかなりユルめで広角端でF8、テレ端でF11くらいまで絞り込まないといけない。実質F11通しズームくらいに考えておいた方がいい。

 

そんなの暗すぎて使えんじゃないかと思っていたのだが、このレンズの手ブレ補正はとってもよく効く。広角側で3段〜4段、望遠端で4段〜5段分くらいは手ブレを抑えてくれる。そのうえα7SはISO12800くらいまでは平然と感度をあげられるので、ほとんどF11で固定して運用しても支障がない。

 

手持ち夜景(0.5sec)

 

 

300mmがこのサイズとはたまげたな。

 

コンデジのstylus1を持っていた人なら伝わるかもしれないが、あの「よくわからんが高倍率なのにどのズーム域でもちゃんと写ってて不気味だ」という釈然としない感じを、そのままフルサイズ用に持ってきたと考えて良い。白トビもしないし、感度もいくらでもあげられるし、いざとなれば絞りを開けばよいので、非常に使いやすい。いわゆるこれ1本あればいい「終のレンズ」というやつである。そのぶん構図の下手さが言い訳しようもなく露呈してしまうのだけど。


 

α7SにMC-11(マウントアダプター)経由で、EF28-80mm f3.5-5.6 usmというレンズをつなげて撮影した。

EF28-80mm f3.5-5.6 usm(無印)というレンズは1991年に発売されたEOS100QDというフィルムカメラのキットレンズだ。18年近く前の製品ということになる。ヤフオクで2500円で譲ってもらった。状態は綺麗。

 

 

 

EF28-80mm f3.5-5.6 usm(無印)

キヤノン謹製USMつき、これから5回もマイナーバージョンアップされる、28-80キットレンズの初号機である。初発だけあって設計には気合いが入っている。インナーズーム(っぽく鏡筒を長くして目立たなくしている)、フルタイムMFが可能なモデルで、ちょっとレンズは太めだが、使いやすい。

とはいえスペック自体は普通の、暗い、安価なフルサイズ用標準キットズームである。

失礼ながら、描写は期待できそうにないだろう、と思って使いはじめた。

 

とにかく性能が出そうなF8まで絞って撮ろう、とだけ考えてシャッターを切った。使えなかった使えなかったで、2500円だからいいや、と思った。

 

 

出てきた絵は素晴らしいものだった。α7Sのフルサイズ1200万画素センサーが、キットズームの光を優しく受け止めてくれていた。

 

α7Sは世界で最も優しいカメラだ。レンズに優しい――画素数が少ないぶん、過剰な解像度を要求しない――そして、画素ピッチが広いためテレセントリック性に対してもシビアでない。階調性とダイナミックレンジに優れ、多少暗いレンズでもISO感度でその描写力を支えてくれる。

 

もちろんユーザーにも優しい。写真1枚あたりのファイルサイズはα7Rシリーズの4分の1だ。

山ほど撮っても、SDカードがデータでいっぱいになることは、そう簡単にはない。

 

 

 

広いダイナミックレンジは風景を丸ごと受け止める。

 

 

描写は繊細で優しい(2500円のレンズだけど)

 

 

F8に固定していたらISO4000になっていた。高感度だけど、どこも破綻していない。

400グラムちょいのα7Sボディに、あわせて300グラムちょいのフィルム時代のキットズームとアダプターをつけるだけで、後はセンサーがうまいこと絵にしてくれる。

 

 

他のカメラの話をしよう。フルサイズミラーレスとか、E-M1Xとか、噂の8kカメラとか…。

今後発売を予定されているカメラは、利益率の高いプレミア路線のものがほとんどだ。当然カタログスペックを稼ぐため、画素数を増やしていく一方になるだろう。画素数が多ければ、そのマウントのレンズは嫌でも高画素対応しなければならなくなり、高価で、重くなるだろう。そしてボディも高画素に対応するべく、手ぶれ補正ユニットが必須となる。手ブレ補正ユニットが乗ればピクセルシフトもなし崩し的に導入されていくだろう。

 

多機能になれば消費電力が増え、バッテリーを大きくする必要性も出てくる。また大きなレンズとバランスの取れるボディも必要だ。こうしてあらゆる機材が大型化し、手荷物の総重量は増えていく。画素数が増えれば写真1枚のファイルサイズはどんどん重くなる。現像も大変だ。カメラはより便利になっていくはずが、ユーザーの使い勝手はどんどん悪くなっていく。

 

 

もちろん、画質を追及するという夢、方向性、ロマン、そういったものを否定するべきではない。だが、新しいカメラを使う上での体験(エクスペリエンス)は、日ごと重労働化していくばかりに思える。

 

一方、α7Sはユーザーになんの負荷もかけず、技術の進歩だけで、新しい体験を提供した。α7Sが改良したのはセンサーだけだ。ボディは何も重くなっていない。重いレンズも要求しない。

ユーザーはそこに軽いレンズをのっけて、シャッターを切れば良いだけだ。ISO感度を意識する必要もない。なんとも楽に、素敵な写真を撮ることができるようになった。

カメラの進歩というのは本来、こうあるべきだったのではないか?


 

↓から切り出したもの。

 

α7R2 + MC-11 + SIGMA 20mm F1.4 DG Art

 



前回の検証結果がどうしても納得いかなかったので、最新のマイクロフォーサーズセンサーを使っているG9と、α7R2の画質を厳密に検証することにした。

 

 

使用する機材の組み合わせは以下の通り。

 DC-G9 PRO + SIGMA 35mm F1.4 DG ART(換算70mm)

 α7R2 + SIGMA 70mm F2.8 EX DG MACRO

 

そもそもマイクロフォーサーズとフルサイズの画質を比較することになったいきさつは、いくつかのブログ記事にて「マイクロフォーサーズはフルサイズに比べて2段分被写界深度を深くできるうえに、手ブレ補正が強力なので、感度を何段も下げることができ、状況によってはマイクロフォーサーズはフルサイズの画質に匹敵、あるいは凌駕する」と書かれていたためだ。これをうのみにして自分はG9を買った(良いカメラだ)。しかしまことしやかに書かれているこの理論を、(ラボテストの数字を並べたブログはあったが)実機できちんと検証した記事はひとつもなかったので、自分で機材をそろえて比較することにした。

 

前提条件として、マイクロフォーサーズの手ブレ補正はフルサイズに比べて何段分強力かを測定することにする。

 

壁に張った1000円札を同じ距離から換算70mmで撮影し、手ブレ補正の効き具合を調べた。これによると、G9はシャッタースピード1/4秒の撮影でもシャープな画像を50%の確率で得られることが分かった。大まかにいって、これは4段分の効果だ。

 

α7R2は1/8秒で50%以上シャープな画像を得られた(思ったより効きが強かった)。これは3段分の効果だ。

 

これを踏まえて測定条件は以下とする。

 DC-G9 PRO + SIGMA 35mm F1.4 DG ART(換算70mm)

  :F2.8で撮影する。

 α7R2 + SIGMA 70mm F2.8 EX DG MACRO

  :被写界深度を揃えるため、2段絞った状態(F5.6)で撮影し、

   さらに手ブレ補正も加味してG9のISO感度から3段分上げる(G9がISO200ならばα7R2はISO1600)

 

千円札を撮影し、G9の画像サイズにα7R2の画像を縮小したうえで、等倍で画質を比較する。すべてjpeg、AWBとする。

以下検証結果。

 

 

αが上に見える。

 

同上。

 

同上。

 

同上。

 

一応、レンズはマイクロフォーサーズ専用のものではなく、EFマウントのものをアダプターを噛ませて使用しているので、その点はまだ検証の余地はある。それも踏まえた結論、

 

マイクロフォーサーズの最新センサーは焦点距離70mm、ISO200〜ISO1600までにおいて、

手ブレ補正効果分と被写界深度2段分(合計3段分)感度をあげたフルサイズの画質を越えることはない

 

 

おまけ:G9PRO+SIGMA 70mm EX DG MACRO+ハイレゾショット

 

このカメラすごすぎる

 

結論2:ハイレゾショットを使えば超える


 

・Viltrox EF-M2 スピードブースターにF1.4のレンズを装着し、F1.0にしたときの画質について、実際にやってみたので、記録として。いろんなレビューサイトを見ると「実用に足る」「中心はマザーレンズより解像度がアップ」「使い物にならない」「これでフルサイズはもういらない」「画質は多少劣化」と評価が真っ二つにわれているので、人柱として少しは参考になるかと思う。察した方もいると思うが、今回は失敗談である。

 

 

F1.0(SIGMA 35mm F1.4 Art)

 

F2.8(マザーレンズはF4まで絞ったことになる)

 

・なお、G9につけると、AFは爆速だ。

 

・画質について、正直なところを申し上げれば、これは動画用であって、静止画向きではない。開放では滲み(ハロ?)の影響が激しく相当モヤついた絵になってしまう。絞れば多少マシになるが、それなら最初から純正のレンズを使った方が良い。というわけで、はっきりいえば、ダメだ。

 

・なぜこの画質で高評価のレビューがあがるのか謎だったので、いろいろ試してみたところ、室内で近距離撮影した時はこの強烈なネガは出なかった。出る時と出ないときがある。このハロはおそらく草むらがそれぞれすべて発光しているような、ハードな環境でのみ出るのだろう。そういうわけで、部屋の中で物撮りをするには良いが、フィールドでの使用は難しい。

 

・ソフトフィルターがかかったようになるので、星撮りには良いかもしれない。

 

・Viltrox NF-Eも持っているので試したが、同様のハロが出る。

 

・スピードブースターによりF値を下げ、ボケ量を稼ぎつつ夜間撮影もこなせるので、フルサイズを置き換えられるかと思って買ってみたが、そんなうまい話があるわけがなかった。高い勉強代だった。

 

 

 

・マイクロフォーサーズとは思えないほどボケ量が出るので、情緒あふれる画にはなるのだが。

 


 

手ブレ補正により低照度に強いとされるG9と、高感度の画質が優れているα7R2を比較する。想定しているのは実写で低照度下において、手持ち撮影を行った状況で、条件は以下。

 

 ・G9はISO200(基準感度)α7R2は感度をあげながらシャッタースピードをあげていく

 ・レンズは同じレンズを使う(SIGMA 35mm F1.4 Art)

 ・被写体が同じ大きさになるよう撮影し、一部をトリミングして並べる

 ・RAWで撮影し、3段増感する。

 

フルサイズとマイクロフォーサーズで同じレンズを使うと画角が変わってしまうので厳密な比較ではないが、レンズを変えると今度は透過率を含めた明るさ(T値)も変わってしまい余計ややこしいので、今回は同じレンズで比較する。jpegでのノイズ処理能力も重要な画質に関する要因ではあるが、自分の使用用途ではシャドーの持ち上げを多用するので、今回はRAWの画質に注目し、jpegの性能はオミットする。

 

G9 ISO200 目の部分をトリミングする。

 

左がG9、右がα7R2。

低感度で比較してもしょうがないので、2段感度をあげてISO800から。

 

増感した時点で色がG9はすでにちょっとおかしいし、ディティールが溶けている(手ブレしてないか不安になるがたぶんしてないと思う)。αが上だと思う。というかαのほうがちょっと手ブレしてる。

 

ISO1600。まだαが上に見える。

 

ISO3200。4段感度をあげてもまだαのほうがシャープに見える。

 

微妙。ノイズはαが派手に出ている。

 

さすがにG9のほうが上。

 

マイクロフォーサーズは2段分被写界深度が深く、手ブレ補正が強力なのでそのぶん感度を下げた状態で撮影できる、したがって低照度に強い、というのがよく聞く言説で、自分もそう思っていた。今回の結果はちょっと驚き、いやかなりショックだ。同じ換算焦点距離でもう一度ちゃんと検証したいが、そもそも低照度だとG9は最低感度でもディティールが溶けてしまっている気がする。受光素子サイズが4倍、画素数2倍はかように大きいものか。

 

当たり前だけど、適正露出で撮れば色が変になったりディティールが飛んだりすることはない。

 

1/2sec。

 

ただG9のrawを増感・減感して画像を加工するとやはり厳しいところがある。そういうのはフルサイズに任せておけということなのだろう。手ブレ補正がいくら強力でも、増感・減感を前提とするなら最初から手ブレを防ぐために3段・4段と感度をあげたフルサイズのほうが加工耐性は上ということだ。ラボテストだとG9の基準感度におけるダイナミックレンジは10EV前後とのことで、フルサイズのISO400とか800あたりと同等の性能ということだったが、まあ、あまりああいうのは当てにしない方が良いようだ。

 

 

それはそれとして、G9の使い勝手はすばらしい。手持ちで星が撮れた(衝撃的だ…)。

 

 


 

・差別化

PENTAX Qシリーズは(最大で)1/1.7型センサーのレンズ交換型カメラで、1型のnikon1や、マイクロフォーサーズはおろか、レンズ一体型のコンデジやスマートフォンまで、すべてのカメラが比較対象に入ってくる、極めて微妙な立ち位置にあるシステムだ。広角から望遠まで、単焦点も含めて小型のレンズで幅広く対応できることはPENTAX Qシステムのメリットなのだが、比較対象として28-300mmを全域F2.8でカバーするstylus1、よりセンサーサイズの大きいRX100M6の存在や、はるかに高感度耐性で勝るマイクロフォーサーズの存在、そしてより軽量コンパクトな高画質を売りにするスマホ群を考慮すると、これらを押しのけて積極的にPENTAX Qを肯定するのは難しい。

 

明らかに差別化点となりうるのは

 …狭角レンズ(17.5mm〜)を使用できる最小のフォーマットであること。

 EX-100等の高級コンデジより軽いこと(本体200グラム+レンズが70グラム程度)

 スマホと違い、物理ダイヤルが存在すること。

 ぅ侫.鵐ションから連射・インターバル撮影に直接アクセスできること。

,とくに重要で、このサイズ(270グラム程度)のカメラで魚眼でない低歪曲超広角レンズを搭載しているカメラは、他にない(超広角レンズを装着済でnikon1が320g前後、マイクロフォーサーズは最小でも355g前後。アクションカムは激しく歪曲する)。PENTAX Q 08 Wide Zoomは軽さと画質の面で他に代替が効かず、ずば抜けて優秀だ。一方で、Qの他のズームや単焦点、トイレンズには、これといって他のフォーマットより有利な点は見当たらない。

 

 〇もし標準+望遠ズームのみを使用するならば、レンズ交換が不要で全域で高画質なstylus1(あるいは同じ光学系のカシオEX-100)を勧める。センサーが数倍大きいRX100M6もほとんどの焦点距離で画質的にQより有利で、軽く、しかもレンズは沈胴する。

 

 〇単焦点を用いて標準域の高画質や明るさを求めるなら、マイクロフォーサーズのほうがすべての面で良い。高感度もボケ量も倍以上の余裕がある。オリンパスのEP-Lシリーズの型落ちなら安くて手ブレ補正も効くし、より軽さを求めるならLUMIX DMC-GM1でも良い。

 

 〇広角スナップが目的なら、軽く、明るく、画素数が2倍で、センサーサイズが大きいXF10を推奨する。

 

したがって、これらを考慮すると、PENTAX Qシリーズの存在を肯定するには08 Wide zoomが絶対に必要だ。軽い+超広角レンズがQにとって唯一無二のアイデンティティである。もし、あなたが「おれはペンタックスのカメラを使っている」という満足感以外に、このカメラを使う合理的な動機が必要なら、08レンズを買うべきだ。

 

 

・バッテリーライフ

公称値はバッテリー1個で250枚だ。ネットでのレビューを見ると実質的なバッテリーライフは100枚〜150枚程度と書かれているが、ラージなフォーマットと違ってAFに使う電力もデータ保存に使う電力も、Qはより小さくて済む。実際Qはほとんどをフィルターと補正加工にその電力を使用しているようで、それらを全部切れば撮影可能枚数は劇的に増加する。デジタルフィルター切、記録設定RAWのみ、ディストーション補正なし、クイックビューオフ設定で1286枚撮影できた。

 

バッテリーライフを伸ばしたいなら、各種補正とフィルター設定は切るべきだ。ハードモノクロームは興味深い機能だが、現像で再現可能である。もしパソコンを持っているなら、jpegは使用せずRAWのみで撮影し、ライトルームを導入して、フィルターや補正類はそちらに任せることを推奨する。

 

 

 

・画質

前回の記事でQ7が、条件さえそろえばフルサイズと同等(というのは明らかに言いすぎだが、インターネット鑑賞では判断不可能なレベル)の画質があることを示した。とはいえ、Qのノイズは基準感度においても、はっきり言ってかなり多いし、画素数が少ないため明瞭度を高めた時の違和感も強い。等倍に拡大して見るような用途には向かない。一方で基準感度におけるダイナミックレンジや色再現は非常に優れており、全体を見た時の印象をより重視したチューニングを施しているように思える。とりあえず、この記事で使用している画像はすべてQ7で撮影したものなので、それである程度は判断できると思う。個人的には満足だ。

 

画質面でQに対する否定的なレビューは多く、いまやスマートフォンに劣るとまで言われているが、それは誤りだ。きちんとした手順で撮影し現像すれば(1型センサーやマイクロフォーサーズと同様に)よりラージなフォーマットに匹敵する絵を得られる。だが適当に撮ると適当な絵しか出てこないのも事実である。最新のスマホのように光量を察知して勝手にHDR撮影して画像処理してくれたり、ポートレートモードでボケを上手にコントロールしてくれる機能もない。暗所でAIがそれらしく増感処理と塗り絵をしてくれるわけでもない。もし、あなたがQでまともな画質を得ようとするなら

 〇常にISO100で撮るべきである(必要なら三脚を使う)

 〇長時間露光の際は電子シャッターを使用するべきである

 〇RAWで撮影し現像するべきである

Qはその見た目に反して、かなりハードボイルドなカメラだ。カメラの基本に沿って、ちゃんと撮ることが必要だが、そうすれば一定以上の絵は出してくれるし、雑にやると下手なことはすぐバレる。コンパクトカメラに比べると作り込んであり、「ちゃんと撮影をする」こと自体はとても楽にできるので、そういう意味では理にかなっている。もっとも高感度はどうやってもダメだ。感度が必要なシーンになったら、そっとQを鞄にしまって、より大きなカメラを使うべきだろう(といっても大きいカメラを持ってるなら最初からそっちを使うだろうが)

 

余談だが、このフォーマットだと換算焦点距離を伸ばしやすいので、望遠レンズを使いたい衝動にかられるが、小さいセンサーで望遠撮影をしても、基本的にろくなことにはならない。超望遠で撮るのは鳥や、飛行機や、車や、とにかく動くものばかりで、そうなるとシャッタースピードをあげねばならず、ISO感度は跳ね上がってしまう。横着せずもっと大きいカメラを使った方がいい。また月面を取りたいのならQよりもCOOLPIX P1000という専用カメラがあるのでそっちを使うほうが楽だろう。

 

 

 

・使い勝手

コンデジと違い「小型ゆえにオミットされた」機能は、Qではほとんどない。基本的な機能はすべて押さえられており、長時間露光も連射もできる。また電子シャッターを有しており無音撮影が可能だ。EX-100は画質面でとても満足していたが、UIは最悪だった。Qはその点では勝る。

 

単体でRAWのインターバル撮影が可能で、超広角レンズが使えて、撮影画像を確認できて、300グラムを切るのはPENTAX Qシステムだけである。RX100に超広角用のワイコンをつけるのは軽さを相殺してしまいあまりに物悲しいし、画角を妥協してRX0を使おうとしたら、なぜかこいつはインターバル撮影ができなかった(どうしてソニーはPlayMemories Camera Appsの互換をわざわざ切った? まったく理解に苦しむ)。色々調べてカシオの超広角コンデジを見つけたが、広角端でraw保存ができない。たぶんjpegでは自撮り用の顔が歪まない補正がかけられないせいだろう。自撮りする人がわざわざrawで保存して、歪曲なんか気にするとは思えない。カシオの考えることは謎である。

 

Qは軽いので、3メートルの自撮り棒につけてインターバル撮影をすれば、ドローン撮影の真似事ができる。残念ながらwifiはついていないので遠隔操作もモニター確認もできないが、レンズスタイルカメラと比べるとバッテリーライフは圧倒的だし、スマホもいらない。いっぽうでアクションカムに特有の魚眼的な歪曲もないので、画像素材として過不足なく素晴らしい。

 

 

 

・PENTAX Qシリーズは買いか?

あなたが以下の条件に当てはまるならば、買っても良いだろう。

 〇小さなカメラを求めていて、マイクロフォーサーズではまだ大き過ぎると考えている。

 〇コンパクトカメラでは、自分の要件を満たさない(画角、機能など)

 〇低感度での撮影やRAW現像をいとわない。

常々思うのだが、サブシステムにマイクロフォーサーズは大きいと思う。どれだけ軽量なものを選んでもレンズが飛び出ている以上コンデジよりは嵩張るわけで、フルサイズにプラスしてMFT丸ごとのシステムを持って行くのは大変だ。かといってコンパクトカメラでは焦点距離やRAWでの撮影能力に不満がある。そんなときQシステムはあなたに最適だ。

 

QシリーズにはQ、Q10、Q7、Q-S1があるが、Q7とQ-S1はセンサーサイズがほんのわずかに大きく、換算焦点距離は短くなる。08WideZoomを使うのならこの2つのどちらかが良いだろう。

 

 

 

・結局、リコーはQをどうするべきだったのか。

カメラレビューのブログを見ていると、PENTAX Qシステムに限界を感じ、カメラをより大きなものにアップデートする、と宣言した人を多く見る。高感度性能は終わっているフォーマットなので、そういう用途が必要なら買い換えるしかない。ただ、彼らがQから移動するのは同社のPENTAX KPとかK-1ではなくて、決まってオリンパスやソニーや富士フイルムのミラーレスなのである。そりゃそうだ。Qでカメラの面白さを知って、もっといいカメラが欲しいと思ったとき、買うのは当然ミラーレスになる。しかも、Qシステムは安いので、マウントを変えるのにも躊躇がいらない。いってみれば、リコーは利ザヤの小さいQシステムでユーザーの門戸を広げて、より利益率の高い製品は他社のものを買わせるという慈善事業をしていることになる。これではQは続かない。

 

 

Qシステムは、個人的には完成されたシステムだと思う。確かに状況によっては厳しい面もあるが、F1.4未満の大口径レンズなどが拡張されれば、暗い場所での撮影など大部分はカバーされるし、08の高画質を見るに、システム自体に欠陥があるとは思えない。

 

Qが終わってしまったのは「Qからステップアップの受け皿がリコーになかった」ただそれに尽きる。つまり、リコーはフルサイズミラーレスシステムを作るべきだ。リコーが次にとるべき行動はLマウントアライアンスへの参加である! そして、Qマウントカメラの復活だ。それが僕の望むことすべてだ。(そうしてほしいけど、まあたぶん、やんないと思うが…)

 


 

世の中はフルサイズミラーレスの話題で持ちきりだ。世の中右も左もミラーレスミラーレス。冒頭にあげた写真はPENTAX Q7である。これもミラーレスだ。ペンタックスQについて覚えることはあまり多くないが要点をいうと

 

 ・ペンタックスから出た

 ・レンズ交換式のカメラで

 ・ミラーがついてない

 

小型のミラーレスカメラである。今のところレンズは8本で、必要なら他のレンズをアダプターをかまして使う。ボディはQ、Q10(Qのガワをかえただけ)、Q7(センサーがちょっとだけ大型化)、Q-S1(Q7のガワをかえただけ)の4つである。覚えることはこれでほぼ終わりだ。実は最新モデルのQ-S1ですらもう製造を終了しており、今や「ペンタックスにもミラーレスはあるよ」という冗談に使われるだけの代物になっている。

 

センサーが世界最小のレンズ交換ができるシステムだ。需要はある。今でもQの新型を待っている人はいる。とはいえ、海外の公式サイトでは去年の1月には早々にQが削除され、Qのモックアップがオークションに並び(もう店頭に置かなくていいからだ)、レンズのロードマップにあったマクロも消えてしまった。これでまだQが拡張されると言われても信じるほうが無理だろう。公式から「終わった」とアナウンスがあったわけではない(はずだ)が。

 

去年あたり「Qが終わる」という噂が流れたとき「なぜ辞めるのか」という怒りより「やっぱり」という諦めの声が大きかったように思う。総じてペンタックスQは「ユニークで遊べる良いカメラ」という共通認識はありながらも、なんだかんだ毀誉褒貶の激しいシステムだった。その原因はざっくり言えばセンサーサイズだ。

 

コンデジと同じ1/1.7型。面積でいえばフルサイズの1/20もない。画質的にどうなのだろう? 真っ向からラージフォーマットと比べるのはナンセンスなくらいの差ではある。誰か比較してみてほしい。

 

 

 

 

誰もやってくれないので、自分でやった。

 

 

PENTAX Q7 + 08 WIDE ZOOM

 

 

α7R2 + SUPER WIDE-HELIAR 15mm F4.5 ASPHERICAL III.

 

画角が2.5mm違うので、α7R2のほうは少しトリミングしてある。

 

画質の見方は人それぞれだが、どうだろう? Qは1/20のセンサーサイズだが、健闘している。というか、これを言っていいのかわからないが、長辺1024ピクセルに縮小した画だと、Qのほうが画質がいい気がする。SUPER WIDE-HELIARも良いレンズだが、08 WIDE ZOOMはそれに輪をかけて良い。70グラムちょいの重さにして、すさまじい性能のレンズだ。

 

そもそもブログサイズで画質云々を言うべきではないのかもしれないし、4200万画素と1200万画素で比べるのが無粋なのだが、ぱっと見て「α7R2のほうが周辺減光が強いな」くらいしかわからない。正直言って、ブラインドテストで見分ける自信がない。

 

使用したPENTAX-08 WIDE ZOOMは、換算17.5mm-27mmをカバーする超広角ズームで、ペンタックスQシステムで最後に出た一本である。Qの8番。もともとペンタックスQは「レンズ交換できるコンデジ」のイメージが自分にはあり、メーカーもそれは弁えているようで、5000円程度の魚眼トイレンズも出しているのである。だから、もしQを「オモチャ」だと割り切るなら、魚眼レンズをソフトウェア補正にして広角に見せるだけでも良かったし、それで誰も文句は言わなかったはずなのだ。

 

しかしリコーはEDガラス2枚と異常低分散ガラス1枚を含む、8群10枚の「本物の」超広角レンズを作った。このレンズが売れたのかどうかは知らない。他のレンズ7本に比べて、明らかに高価すぎるし、Qを買うユーザー層とはミスマッチな感じもする。コンデジで超広角が作られないのも売れないからだ。しかし、それでもリコーは作った。今考えると、これは「Qは本物の一眼だ」という、技術者からの強いメッセージのようにも思える。